スポーツ交流で地域発展
黒須 充
 昨年8月31日、総務省、文部科学省、農林水産省は、3省合同で、子どもの学ぶ意欲や自立心、さらには思いやりの心、規範意識などを育み、力強い子どもの成長を支える「子ども農山漁村交流プロジェクト」を発表しました。
 具体的には全国2万3千校(約120万人)の小学生を対象に、農山漁村で1週間程度の宿泊体験活動を推進しようとするものです。
しかし、実際に受け入れる側にとって、農業、林業、漁業に関する1週間分の体験プログラムを用意することは、極めて難しいことが予想されます。そうした点を補い、子どもたちの関心や好奇心を高めながら、より実りある体験活動にするためのプログラムとして注目されているのがスポーツやレクリエーション活動です。
こうした動きをいち早く察知し、地域全体で早くから取り組みを始めているのが、沖縄県今帰仁(なきじん)村にある「NSC総合型地域スポーツクラブなきじん」です。
 今帰仁村は沖縄県北部に位置する人口9,600人の農業中心の村で、世界遺産に登録されている北山城跡や、亜熱帯地方特有の気候と風光明媚な海岸線を持ち、海岸に隣接する総合運動公園にクラブの拠点を置いています。
 先日、同クラブを視察して来ましたが、「地域全体をスポーツフィールドに!」というキャッチフレーズを掲げ、海浜を利用したライフセービングやシーカヤック、村総合運動公園内の施設を使った陸上やバドミントン、海岸線沿いの道路を使ったサイクリングやハイキング、社会教育施設を活用した環境教育や文化活動など、まさに地の利を活かした多彩な体験プログラムを展開していました。
クラブマネジャーである矢貫卓博氏にお話を伺った中で最も印象に残ったことは、「命(ぬち)どぅ宝」という言葉でした。これは、沖縄の言葉で「命こそ宝」という意味を表し、この場所でしかできないこと、特に水辺の活動を通して、命と環境の大切さを子どもたちに感じてもらいたいと熱く語ってくれました。
 スポーツは、その分かりやすさから人、物、アイディアを結びつける媒体や接着剤、時には潤滑油としての役割を果たします。これらスポーツの特性を踏まえて、スポーツをいわゆる「競技」と捉えるだけでなく、地域交流・地域活性化のツールとして活用することが、地域の再発見につながることを教えていただきました。
福島県でも、新年度から「観光交流局」が新設され、体験旅行や教育旅行を積極的に誘致する方針が打ち出されました。スポーツ交流という観点も取り入れ、様々な相乗効果につなげて欲しいものです。