バスケルール 変遷の秘話
杉浦 弘一
 前回バスケットボールの技術・戦術の発達秘話を紹介しました。今回はルール変遷の秘話を紹介します。
 【バックボード】バスケットボールの特徴の一つは、バックボードに取り付けられた高さ3.05mリングにシュートすることです。つまりバックボードとリングは一体化してイメージされています。バスケットボール誕生時(1891年)にはバックボードはありませんでしたが、翌年(1892年)には誕生しました。
 バックボードが誕生した理由は意外なことでした。バスケットボールが普及してくると試合が数多く行われるようになります。それとともに観客も増えます。応援するチームに勝ってもらいたいという気持ちが強くなり、相手チームのシュートがリングに入らないように邪魔する観客も現れました。バスケットボール誕生当時はいわゆるギャラリーに直接リングを取り付けていたため、手や足を出して邪魔することができました。これを防ぐための金網をリングの後ろに取り付けたことがバックボードの始まりといわれています。今ではバックボードを有効に利用してシュートする技術も発達していますが、決してシュートが入りやすいように取り付けたのではなかったのです。
 その後バックボードは形や素材が変遷し、現在の透明アクリルボードとなりました。
 【スローイン】現在ではコートの外にボールが出ると、最後にボールに触れたプレイヤーの相手チームがコート内にスローインします。しかし、バスケットボール誕生当初は、コート外にボールが出た後、最初にボールを拾ったチームがスローインしていました。試合が白熱すると、コート外に出たボールの取り合いで、乱闘が起こることもあったようです。これは創始者ネイスミスの意図する「ラフプレイのない競技」とは似てもにつかない状態でした。また、観客もコート外に出たボールを奪って、応援するチームの選手に渡すなど、コート外に出たボールの所有権を巡ってすさまじい争いが繰り広げられました。
 観客とのトラブルを避けるためにコートの周りに金網を張り巡らせて試合を行った時もありました。金網(ケイジ)の中でプレイする競技であることからバスケットボールのことを「ケイジゲーム」、プレイヤーのことを「ケイジャー」と呼ぶこともありました。
 誕生から30年近くたった1929年に現在のような「ボールをコート外に出したチームの反対側のチームがスローインすること」と定められ、ようやくこのラフプレイに終止符が打たれました。