フィットネス 競争の時代
黒須 充
  年も明け、気持ちも新たに「今年こそは脱メタボ」を誓った人も多いことだろう。しかし、忙しい日々の生活の中で運動を続けることはなかなか大変なことである。そんな私たち現代人の間で最近ひそかにブームになっているのが、「簡易型フィットネスクラブ」である。
 通勤途中に立ち寄れる駅ナカや買い物帰りに入りやすいスーパーの一角などに出店しているケースが多いようだ。
会費も安く、身近な場所で、短時間でも、楽しく身体を動かすことができる「安近短楽」をセールスポイントに、大型のスポーツクラブとは違った特色を打ち出したことが人気につながっている。
 時代は消費社会から地球にやさしいエコ社会へと移り、クラブでの過ごし方も、かつての豪華な設備を備えた施設でゆったりと何時間も過ごすという使い方から、日常生活のちょっとした空き時間に自分のペースで自分に必要な運動をこなすというシンプルなしくみが受け入れられているのかも知れない。
 わが国におけるフィットネスクラブの流れを振り返ってみると、1964年の東京オリンピックを契機に全国各地に広まった「スイミングスクール」が始まりと言われている。その後、80年代にプール、ジム、サウナなどを備えた大人向けのフィットネスクラブが、文字通り「雨後の筍のごとく」誕生した。しかし、90年代に入り、バブル崩壊の影響から、撤退・廃業する企業も現れ、一時は低迷期が続いたものの、高齢化社会の到来や健康志向の高まりを受け、2000年ごろから再び増加に転じ、現在に至っている。
 今後は、各クラブの知恵と力が試される競争の時代に入ると考えられる。プログラムの新規開発、女性・中高齢者層の取り込み、清潔な施設、最新式機器の導入、営業時間の工夫など経営努力を行ったところが生き残り、そうでないところは淘汰されていくと言えるだろう。
 ちなみに、米国と日本のフィットネスクラブ事情(2005年データ)を比較してみると、米国の会員総数4130万人(人口比14%)に対し、日本の会員総数は385万人(人口比2.96%)であり、この分野における伸びしろはまだ十分あることがうかがえる。「Three to ten」、総会員数(人口比)を現在の3%から10%に上げよう、これがわが国のフィットネスクラブの合い言葉になっている。とりわけ、本年4月からスタートする「特定検診・特定保健指導」は、フィットネスクラブにとって追い風となるだろう。いち早くメタボリック対策支援プログラムを開発し、企業や自治体と特定契約を結ぶ動きも出始めている。
いずれにせよ、今年こそは三日坊主にならないよう目的を達成したいものである