| 根強いスポーツ根性論 |
中村 民雄
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| ウサギ跳び。この言葉は団塊の世代にとって、汗と涙を流しながら打ち込んだ運動部での青春の1ページを飾るものではないのでしょうか。 新人部員の通過儀礼として、グラウンドを何周も飛びはねたり、お寺の階段を駆け上がったり、砂浜をとんだりと、歩けなくなるまでやった経験。なた、仲間と一緒にやり遂げた後の、なんとも言えない満足感に、足腰の痛さを忘れ、精神力が強くなったと錯覚させられた思い出を、誰もが思っているのではないのでしょうか。 そうしたウサギ跳びは、昭和40年代に大流行したスポ根(スポーツ根性)マンガによって、団塊の世代に植え付けられていきました。『巨人の星』と『あしたのジョー』とともに梶原一騎原作のマンガで、『週刊少年マガジン』に掲載され、後にテレビアニメとしても放映させられました。 その中でも、『巨人の星』の主人公・星飛雄馬が、父・星一徹の過酷な指導に耐え、大リーグボールを生み出して“巨人の星”となるまでには、ウサギ跳びのシーンが幾度となく登場し、多くの人の目に焼き付いています。自らの肉体を限界まで痛めつけ、その先に必ず精神力が強くなることを信じて、苦行の日々を送る星飛雄馬に、自分自身を重ね合わせていたのではないでしょうか。 また、同じようなスポーツ根性論として、「運動中は水を飲むな」という“神話”もありました。炎天下でどんなに激しい運動をしても水を飲むことが許されず、のどがカラカラに乾いてしまった経験をお持ちではないでしょうか。 そうした「努力と根性」をモットーとするスポーツ根性論は、昭和50年代に入り、日本が高度高度成長期から安定成長の時代へ映るとともに、次第にスポーツ界から否定され、スポーツ医科学に基づく合理的なトレーニング理論にとってかわられていました。 しかし、それでも今なお、「気合いだ、気合いだ、気合いだ」と言って冷たい海へ入ったり、みさぎの行をまねて滝に打たれたりといったことを、スポーツ選手が行っています。そんな様子を見ながら、スポーツ根性論の根強さを改めて思い知らされた今年の正月でした。 |
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