こまめな給水 途中棄権防ぐ
川本 和久
 「快汗コラム」ご愛読の皆さん、明けましておめでとうございます。今年も福島大学スポーツユニオンメンバーのコラムで、スポーツのおもしろさを発見してください。
 2,3日に行われた今年の箱根駅伝は、逆転に次ぐ逆転で順位がめまぐるしく入れ替わり、観戦する側としては非常に面白い駅伝でした。最終的には、前評判どおり、総合力の高さを見せた駒澤大学の優勝で幕を閉じました。陸上ファンとしては、駅伝の醍醐味を堪能できた2日間でした。しかし、今大会で気になったのは、脱水による途中棄権や、競技続行が困難になった大学がいくつかあったことです。これには、調整ミスやペース配分ペースのミスなど、さまざまな要因があると思います。
 人間は、体温が上がると発汗します。その汗が蒸発した気化熱で体温が下がるので、恒常性を保てます。今回のレースコンディションは、二日とも穏やかな快晴でしたが、日差しが強く、体感温度はかなり高かったはずです。そのため、普段以上の発汗が脱水を助長したと思います。脱水が進むと、グリコーゲンを貯えている肝臓への血流が低下し、血糖値が下がり、エネルギー不足を起こします。また、発汗に伴って、ナトリウムやカルシウムなどのミネラル(電解質)が失われると、筋肉の運動に支障が出て、痙攣をおこします。脱水が軽度のときは、ミネラルウォーターでも体内に十分に吸収されますが、脱水が進むと、ナトリウムや糖質がないと、水分の吸収率が低下します。そこで、レース中も、こまめな水分や糖質、電解質の補給が必要となります。
 箱根駅伝では、15キロ地点での給水(復路は、1回だけ管理運営車から給水できるようになりました)。途中棄権やブレーキとなった選手は、10キロ過ぎの時点で、脱水に陥り始めていたとも考えられます。それだと、15キロ地点だけの給水では少なすぎます。
 復路では、駒澤大学の大八木弘明監督(福島県出身)が、10キロ地点を前に選手に水分を与えていたシーン(激励も含めてでしょうが・・・・)が、何度かTVに映し出されました。先頭の早稲田大を猛追した8区深津卓也選手が、途中ペースダウンしたときに絶妙のタイミングで水を渡していました。9区で逆転した堺晃一選手も3キロ過ぎですでにかなりの発汗をしていました。それも見事な対応で、脱水を未然に防ぎ、最長区間を走り切らせました。今回の駒澤大学の総合優勝は、選手のギリギリの状態を見極め、適切な対応をした大八木監督のコーチとしての勝利でもありました。
 コーチや監督には、スポーツ生理を熟知したうえでの冷静な対応が求められます。2008年は北京五輪の年、競技者だけではなく、コーチの働きも眺めてみると、スポーツ観戦がもっと面白いものになりますよ。