ラリーポイント 逆転信じて
小川 宏
 11月初めからほぼ一ヶ月にわたり、日本でワールドカップバレーが開催されました。日本は残念ながら男女ともにメダルを獲得することが出来ませんでしたが、世界トップレベルのプレーや1点を争う好ゲームを沢山見ることができました。
 さて、6人制バレーボールは現在、サーブ権の有無にかかわらず、得点が入る「ラリーポイント制」で行われています。ラリーポイント制では、全てのラリーが得点になるため、一昔前のサーブ権がある場合にのみ得点が入る「サイドアウト制」よりもスピーディな試合展開になります。その反面、途中で点差が開いてしまうと、リードしているチームがそのまま逃げ切って勝つことが多く、セット終盤での大逆転が起こりにくいと言われています。
 そこでラリーポイント制では実際にどのくらいの逆転が起こっているのかを、前回の2003年ワールドカップ大会で調べてみました。その結果、20点を取った時点(1セット25点)で、男子では3点差、女子では4点差をつけていれば、9割以上の確率で勝利していることが分かりました。つまり男子では[20-17]、女子では[20-16]から逆転負けするゲームは、10回に1回もなかったということです。テレビで試合を見ていると、セット後半の3、4点差ではまだまだ勝負は分からないと思ってしまいますが、実際は意外に逆転が少ないのです。
 しかし、逆転が多いと感じてい方も少なくないと思います。それはおそらく、逆転されるゲームの数そのものは少なくても、実際に起きた逆転ゲームは人の心に強く印象づけられるため、たくさん起きているように錯覚してしまうのだと思います。「車を洗うといつも雨が降る」「トイレに座ったとたんに電話が鳴る」などの例でひと頃話題になった、いわゆる「マーフィーの法則」と似ていますね。このたびのワールドカップでは、日本は男女とも序盤戦で大量リードからの逆転負けを喫しました。これは滅多にないことですが、日本チームを応援して見ていた人にとっては、この逆転負けの試合が強く心に刻みこまれ、その後の試合でも「ここからまた逆転されるかも知れない」と、ハラハラして見てしまうのだと思います。
 でも逆に応援するチームがリードされている時に、「もう逆転は無理」と冷めた見方をするよりも、「まだ逆転出来る」と信じて応援するほうが、試合観戦を楽しめますよね。