| スポーツで人生を豊かに |
黒須 充
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10月末から11月初めまでの約1週間、「スポーツと地域振興」に関する研究打ち合わせのため、ドイツのケルンを訪れました。宿舎の近くには、広大な森と静かな湖が広がっています。滞在中は毎朝約1時間、この湖の周りを歩くのを日課としました。すれ違った人達は、愛犬との散歩やウォーキング、ジョギング、ノルディックウォーキングなど、それぞれ自分のペースで体を動かしていました。さらに日曜日ともなれば、乗馬を楽しんだり、犬とボールで遊んだり、サッカーをしたりと、ドイツ人にとって、運動することは、朝の歯磨きと同じく生活の一部になっていることを肌で感じた1週間でした。 外来文化としてのスポーツが日本に入ってきてから130年以上経ちますが、ドイツのようにスポーツが日々の生活に溶け込んでいる光景は日本ではまだまだ少ないように思います。何が違うのでしょうか。ドイツでは、「スポーツは人生を豊かにする」という考え方が広く市民の間に浸透しています。また、老若男女、障がいのあるなしにかかわらず、だれでも分け隔てなく自由にスポーツを楽しめる環境が整っています。 一方、わが国では、スポーツが最初に入ってきた時に「体育」という言葉に置き換えてしまいました。言うまでもなく、体育とは、フィジカル・エデュケーション(身体教育)であり、スポーツとは別の概念ですが、両者を混同して使用してきた経緯があります。その結果、スポーツ本来の楽しさや自由を味わうことよりも、教育としてやらなければならないという義務感が優先し、スポーツ嫌いの子どもたちが生まれてしまったと言われています。 そろそろ日本でも、与えられる「教育としてのスポーツ」から脱却し、市民一人ひとりが生涯を通じてその人の生活を豊かにできる「文化としてのスポーツ」への転換が求められています。「仕事が忙しくなかなかスポーツをする暇がない」という日本人、片や「忙しいからこそ、家族と過ごす時間やスポーツをする時間を大事にする」というドイツ人と国民性の違いはありますが、スポーツを生活に取り入れ、人生のバランスをとるという知恵を持つドイツ人に見習う所はまだまだありそうです。 長い人生の中で、定期的にはできなくとも、長期的に楽しく続けることができるスポーツを見つけることができれば、私たちの生活はもっと生き生きとしてくると思います。これから冬にかけて運動不足になりがちですが、ぜひ何かひとつ自分に合ったスポーツを見つけてみたいものです。 Viel Spass!(大いに楽しみましょう) |
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