定期的な運動で癌予防
安田 俊広
 「癌のリスクを減らす4つの方法」というコラムが,アメリカのメディカルニュースに掲載されていましたので,その記事を紹介しながら癌と運動について触れてみたいと思います.
 ご存知のように日本では、癌は死因の第一位となっていますが,アメリカでは第3位となっています.しかし、アメリカでも癌撲滅のために大量の資金と人員が投入されているにもかかわらず,癌患者は増加を続けており,近い将来死因の1位になるだろうと言われています.アメリカの国立癌研究所によると、毎年50万人のアメリカ人が癌で亡くなっており,癌により個人が失う人生は平均で約15年と見積もられています.これは総年数にすると(つまり15年×50万人)700〜800万年に相当し,社会的損失は相当甚大なものといえるでしょう.日本の場合,毎年死亡総数の30%に当たる32万人が癌で亡くなっており,高齢化の進行とともにその数は増加すると推測されています.
 癌を予防のための4つの方法,それは「体重を減らすこと,運動すること,健康的な食事そして禁煙」です.最近メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にしますが,この4つの方法は同時にメタボリックシンドローム予防,つまりは心疾患や糖尿病の予防にもつながります.前途の国立癌研究所のコールディッツ博士は,これら基本的な生活習慣がガン発症の危険因子の50%を占めていると述べており,生活習慣の改善が癌の予防に極めて有効だと述べています.
 喫煙が肺癌の危険を増すことは周知の事実でしょう.食事に関しては,動物性の肉や油をよく食べるヒトは,フルーツや野菜をよく食べるヒトに比べて大腸,食道,胃,肺ガンのリスクが高いというデータがあります.
 また、多くの研究で,定期的な運動が大腸癌,結腸癌のリスクを減少させることが認められています.運動する人はタバコを吸わなかったり,食事に留意すしたりといった傾向がありますが,それらの要因を差し引いても運動そのものが癌のリスクを減少させることは間違いないようです.肺癌と診断された後でさえ,適度な身体活動はガンの再発防止や生存率に良い影響を与えるようです.
 今のところなぜ運動がガンのリスクを減少させるのか,その詳細なメカニズムは分かっていません.今後、研究が進んでいけばどんな運動をどれくらい実施すれば有効か、そんなことも分かってくるでしょう。