驚嘆する米国の肥満率
安田 俊広
 現在、海外で研修する機会を与えられ、アメリカに滞在しております。こちらで感じたことをコラムとして報告させていただきます。
 海外で生活していると文化や価値観の違いで驚くことがたくさんありますが、なかでも驚嘆することは、肥満者の数の多さ、そしてその肥満の程度のすさまじさです。腕は私の脚よりも太く、座ればそのお尻は1.5人から2人分のスペースをとっています。おなかの出っ張り方は日本の新幹線に乗ればシート前のテーブルを使用することは不可能でしょう。
 体重が増えても支える脚の数が増える訳ではないので、膝や腰を痛めやすいようで、自力では移動できず、車いす(もちろん電動)を利用している人もよく見かけます。病気や怪我あるいは加齢による体力低下が原因で車いすを使わざるを得ないというのなら分かりますが、自力で動けなくなる前に何かすることがあったのではないかと思ってしまいます。
 こうした肥満者が増える背景はきわめて単純で、カロリー過多と運動不足です。外食すれば1人前の量は多く、高カロリーな物ばかり。ソフトドリンクは通常お替わり自由です。お菓子は甘すぎて、甘い物が平気な私でも一口でギブアップです。移動は基本的に車で行うので歩く距離も限られてしまいます。薬局にも銀行にもドライブスルーがあり、車から出ることなく用が足せます。最近はインターネットの普及によってますます外に出歩く必要がなくなりました。よほど意識して運動習慣を作らないと、普通の生活では太って当たり前の環境と言って良いかもしれません。
 そんな環境を反映しているのか、アメリカ人の死因の第一位は心疾患です。また、肥満は糖尿病の危険因子ですが、糖尿病罹患率は、毎年4.6%の割合で増加しているそうです。2000年に生まれたアメリカの子どもの3人に1人は将来糖尿病を発症するという予測も出されています。確かに親子で教会に行くと、2時間もしないうちに「スナックタイム」が始まり市販の甘くてカラフルなお菓子が配られます。フレンチフライが大好物の私の息子は、このままアメリカに滞在すれば、3人のうちの1人になりそうです。
 日本人はアメリカ人ほど動物性の脂肪やタンパク質を摂取しません。しかし、日本人は欧米人よりも肥満に抵抗力がない、つまり肥満すると病気を発症しやすいと言われています。したがって、日本人はアメリカ人以上に自分の体重増加に注意する必要があります。