スポーツと環境
黒須 充
 近年、オゾン層の破壊が進み、人体に有害な紫外線を浴びる危険性が高くなったことを受け、オーストラリアでは、屋外での遊びやスポーツをする子ども達に対し、@つばの広い帽子をかぶる、Aできるだけ肌の露出を少なくするために半袖ではなく長袖のシャツを着る、B直射日光を浴びるのは数時間以内にするなど、様々な注意を呼びかけています。また、地球の温暖化により、世界の約半数のスキー場が降雪量不足のため、近い将来経営が成り立たなくなる恐れもあるというショッキングな研究レポートも出されています。
こうした事態を受け、IOC(国際オリンピック委員会)は、地球の環境保全に率先して取り組む姿勢を示し始めました。最も顕著な例は、オリンピックの開催候補地を決定する際の条件として、@空気や水、土壌汚染の程度、A新しく建設される施設がもたらす環境への負荷の度合い、B環境保全に関する法律や条例及び規制の状況など、環境に対してどれだけ積極的な対策を講じているかを候補地決定の重要なポイントに挙げています。
要するに、このまま環境破壊が進めば、現在のように自然の中でスポーツを楽しむことができなくなる日が来るかもしれないという危機感を、私たち一人ひとりが持つべき時期に来ていると言えるでしょう。
さて、本格的な夏を迎え、運動やスポーツを行う場合、どんな点に留意すればいいのでしょうか。「オゾンとスポーツ」に焦点を当て、考えてみたいと思います。
地上より20km〜30km高度(成層圏内)にあるオゾン層は、太陽からの紫外線を防ぐ大切なものであり、地上で通常の濃度の場合はまったく問題はありませんが、地上でオゾン濃度が高まると、特に眼や呼吸器系に対し、悪影響を及ぼすと言われています。眼が熱くなったり、涙が出たり、あるいは喉にひっかかりができたり、咳き込んだり、また呼吸困難や頭痛、気分が悪くなるといった症状です。屋外でスポーツをする人は、潜在的にオゾンによる障害を受ける危険を伴ったグループに入ることになりますが、あまり過剰に反応する必要はありません。
通常行う暑さ対策は、同時にオゾン対策にもなるのです。気温が高く、オゾン濃度が高くなりそうな日には、朝や夕方といった過ごしやすい時間帯に軽めの運動を行うのが良いでしょう。その際、有害な紫外線とオゾンから身体を守るために、長袖、長ズボンに帽子、サングラスなどの着用をおすすめします。最近は、UVカット加工の施されているものも豊富に出ており、日焼け止めクリームなどを併用することによって、さらにその効果は高まるでしょう。自然を大切にしながら、自らの身体にも優しくスポーツを楽しみたいものですね。