| 筋肉感覚磨く 後ろ向き歩き |
佐藤 理
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| 転倒による骨折をきっかけに、寝たきり生活を余儀なくされることが多いようです。年齢を重ねるにつれて骨も脆(もろ)くなっていきますので、ちょっと転んだだけでも骨折を起こしやすくなります。おそらく病気で2,3日寝込んだ経験をお持ちでしょうから、寝たきりの生活がどれほど生活の質を下げるものかは想像に難くないことでしょう。 ちょっとした段差につまづいて転んでしまうのは、「弁慶の泣き所」の横にある、つま先をあげる筋肉(前脛骨筋ぜんけいこつきん)が衰えることが一因です。これまでは、前頸骨筋を維持・増進するための方策にウォーキングが良いと考えられていましたが、ふつうの前向き歩きだけでは維持することは難しいとがわかっていました。また最近、転倒防止に後ろ向き歩きが有効だという研究が紹介されました。研究によれば後ろ向き歩きをした場合、前脛骨筋をたくさん働かすことになり、筋力の維持につながるというのです。 車や路面状態の安全を確認の上、是非後ろ向き歩きに取り組んでみてもらいたいのですが、からだが発する「声」も聴いてください。普段とは違う歩きに、からだはおそらく「なんだこれは!」と驚きや戸惑いの“声”をあげることでしょう。生まれてくる時にすでにからだに備わっている歩行反射をもとに、成長するなかで確かなものとして身につけた普段の歩きのなかでは、一歩一歩の着地や足の動かし方、手の振り方など意識することはほとんどありません。これに対し、後ろ向き歩きは一歩一歩を意識せざるをえません。 ところで、こんな検査があります。目をつぶり両腕を前にあげ、左と右の人指し指をゆっくり近づけて、両方の指先がピタッとつくかどうかを調べる検査(閉眼接指テスト)です。手軽な検査ですから試していただきたいのですが、目から入る情報無しにこのようなことができるのは、私たちのからだに、筋肉の緊張度合いを感知し脳に情報を送り、たちまち位置関係をわりだす素晴らしい仕組みが備わっているからにほかなりません。ある調査研究によると1961年には、5歳の幼稚園児全員がこのテストに合格できていたのですが、徐々に合格率が落ち、今では小学校6年生でも3割程度しか目をつぶって指先をつけることができなくなったと報告されています。子どもの育ちの中に、からだを使った遊びが少なくなったことが関係していのでしょう。どんなにすばらしい仕組みがあっても、使う機会が減ると衰えてしまうのです。 後ろ向き歩きは、筋肉を鍛えることができ、転倒防止に有効です。さらに、普段眠っている筋肉感覚を呼び起こし、まるで足に目があるかのように路面の状況を察知出来る足裏感覚を養うことが出来るでしょう。マンネリ化しがちなウオーキングの中でも筋肉感覚を磨くことを意識し、様々な歩き方を工夫してみましょう。結構楽しめますよ。 |
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