「健康!その前に」
佐藤 理
 新年早々店頭から納豆が消え去るという「事件」は記憶に新しいところだと思います。新たなこのコラムでも、からだを動かしての健康づくり中心に話を進めたいと思います。冒頭の事件は今日健康ということを考える際とても大切なことを教えてくれていますので「快汗」とはほど遠い内容かもしれませんがおつきあい下さい。


 この事件は「ためしてガッテン」と並ぶ高視聴率を誇る番組「発掘!あるある大事典」で、納豆がダイエットに効果があるという内容が放映された翌日に起こりました。以前にも「寒天でダイエット」「白インゲン豆でダイエット」などなど健康法やダイエットがらみで似たようなことが起こり、単なる一時的流行で終わったものから深刻な健康被害を及ぼしたものまでいろいろありました。おそらく多くの方々は「またか」という程度のことでやり過ごしたのではないかと思います。その後の展開はご承知の通りです。これは番組制作者によって捏造されたものであることがわかり、さらに調査でこの種の捏造は頻繁に行われていることも明らかになり大問題となりました。
 新聞に紹介された放映内容から納豆のダイエット効果を信じさせた「仕掛け」をみると、アメリカからの最新情報として、体内でつくられるDHEAを食生活に取り入れると高いダイエット効果が認められたことを紹介し、これを増やすのに納豆が有効だということを、科学者の話と実験結果を織り交ぜ解説するというものでした。これは他のこの種の番組でもみられるおきまりパターンですね。納豆はこれまでも「健康食品」として多くの食卓に上り食べ続けられてきました。その経験からしても納豆がダイエットに有効などという説明を簡単に信じ、納豆を買いに走るはずはないと思うのですが。
 群馬大学の高橋久仁子教授(食物学)は9年も前に、食品や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したりして、消費者が熱狂することをフードファディズムとして紹介していました。えり好みできる過剰な食料供給、過剰な健康志向、食に対する漠然とした不安や不信、メディア情報を鵜呑みにしてしまう未熟なメディアリテラシーの四条件が揃うと発生するとしています。まさに今日の我が国の状況がぴたりあてはまります。指摘は食品や栄養に関してですが、健康のことに置き換えてもあてはまりますね。
メディアによって流布される健康情報には、売らんがためには捏造も辞さないという誘惑が常につきまとっていることを意識し、まるで強迫観念にとりつかれたかのような「過剰な健康志向」が蔓延する状況に身を置いていることも冷静にみつめ、あらためて一人一人の生をより充実させるという姿勢で健康づくりに取り組みたいものです。