| 「スポーツマンシップ」 |
小川 宏 |
| 私の研究室の学生が卒業論文で、スポーツをしている人のフェアプレイに対する意識と日常生活でのモラル意識について調査しました。その結果、競技レベルの高さと日常のモラル意識の高さは関係がないこと、そして競技レベルが高い人ほど、一般的にアンフェアと思われるプレーに対して容認する傾向が強いことが分かりました。つまり、スポーツをさせれば正義感あふれるいい子に育つわけではなく、逆にその競技で厳しく勝利を追求していく中で、アンフェアなプレーをすることに次第に疑問を感じなくなっていく傾向があるということになります。このことは、スポーツに対する姿勢や態度は、スポーツ技術を指導する事と同じように、きちんと指導していかなければ身につかない、ということを示しています。 スポーツをする際に求められる姿勢や態度は、「フェアプレイ」あるいは「スポーツマンシップ」と呼ばれています。しかしこの具体的内容については、体育授業はもとより、スポーツ少年団や運動部活動でもほとんど教えられていないのが現状です。だから言葉はよく聞くけど説明はうまく出来ない、という人が多いのではないでしょうか。 「フェアプレイ」と「スポーツマンシップ」はどちらもスポーツする人の態度に関する言葉ですが、この2つは指し示す範囲が違います。フェアプレイとは、「プレー中に守るべき考え方や態度」であり、その具体的内容としては、1)ルールの遵守、2)審判の判定に従うこと、3)相手の尊重、の3つが挙げられます。対してスポーツマンシップとは、プレー以外の場面も含めた、「スポーツマンがとるべき最も基本的な態度を促す精神的な理念」を指します。その具体的内容としては、1)フェアプレイ、2)競争相手、および審判の尊重、3)感情の抑制、の3つが挙げられます。例えば試合に負けたときに、悔しい気持ちを抑えて相手と笑顔で握手したり、相手を賞賛したりできる、いわゆる負けたときの態度が潔い人を英語で「Good Loser」と言いますが、これは試合終了後の態度ですからフェアプレイというよりむしろ、スポーツマンシップに含まれます。 スポーツの試合において、お互いが十分に実力を発揮した競争が最高の価値を持つ競争であり、それが可能になるのは競争する相手や、公平に判定してくれる審判がいるからです。こうした考え方を指導していくことによって、フェアプレイや、相手・審判を尊重する態度、すなわちスポーツマンシップが少しずつ身についていくのだと思います。 |
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