| 「エコロジカル・スポーツ」 |
黒須 充 |
| エコロジカル・スポーツ(以下、「エコ・スポーツ」と略す)を中心としたスポーツライフスタイルについて調査を行うため、ニュージーランドを訪問しました。ニュージーランドのスポーツといえば、ラグビーのオールブラックスやヨットのアメリカズカップ連覇などを思い浮かべることができますが、最近、国民の間で人気を集めているスポーツが、自然をフィールドとするエコ・スポーツです。美しいフィールドの大自然の中で、マウンテンバイク、トレッキング、カヌー、ランニング、ヨットなど、多種多様なスポーツを楽しんでいます。 青少年期までは、多様な競技スポーツに取り組んでいた人が、成人期にエコ・スポーツに向かう傾向が見られます。たとえば、若い時にニュージーランド代表だった選手が引退後にアドベンチャースポーツやマルチスポーツ(注参照)に取り組むなど、日本のように特定の種目に固執する姿は見られません。 ニュージーランドでは、日本に比べそれほど所得は高くないものの、物価も安いため、がむしゃらに働かなくても十分に食べていくことができます。したがって、あくせくと働かず、自分の生活を楽しむために時間を使い、心豊かに過ごすというスタイルが一般的です。しかし、社会的競争・野心が少ない代わりに、スポーツに対してはとてもアクティブであり、スポーツを通して自然にチャレンジする姿がとても印象的でした。また、用具など無理に備えるのではなく、持っている物で楽しめればいいという考えが強く、すべてにおいて自然体であり、何かを変えようとするのではなく、その中の一部になろうという姿勢が伺えました。 利用することによる破壊、廃棄物による破壊、「捕る、採る、取る」ことによる破壊など、世界的な問題になっている環境破壊についても、ニュージーランドでは、環境リテラシーの考え方がスポーツやレジャー活動に行き届いているように思えました。自然に対するマオリ族の考えが、やがてこの国に住む多くの人々に広がり、自然保護活動につながっていったと思われます。 『この自然の中に置いてきていいもの、それはあなたの足跡である』世界最高峰エベレストの初登頂に成功したエドモンド・ヒラリー卿(ニュージーランドオークランド生まれ)の言葉の中に、エコ・スポーツを中心とする新しいスポーツライフの可能性が描かれているのではないでしょうか。 マルチスポーツ:厳しい大自然を相手に、睡眠と食事以外はほとんどトレッキング、マウンテンバイク、カヌー、乗馬、ダイビングなど、自然と環境に合わせて用意されたアウトドア種目をこなしながら前進するアドベンチャースポーツ |
|