| 白樺のポーズ1 |
白石 豊 |
| 前回は「生命時計から見た二足歩行」というお話しをしました。そこでも書きましたが、私たちの直接的な先祖であるピテカントロプス類が二本の足で地上を歩き始めてから、すでに50万年以上が経過しています。つまり、人間の行う運動のどれをとっても、頭を天、足を地に向けた直立位を基本として行われるわけです。それでは、いったいどんな立ち方をすれば、いろいろな運動を上手に行うことができるのでしょうか。 スポーツに限らず武道や芸道の世界でも、一流といわれる人は「立ち姿」が美しいものです。さらにそういう人は立ち姿ばかりでなく、歩いていても座っていてもどこかピンときまっています。つまりその一挙手一投足がすべて美しいわけです。 私もそうしたことには以前から何となく気づいていたのですが、どうしてそうなのかというはっきりした答えを持つことができずにいました。ところが今から十数年前に、体操競技のロシアのナショナルヘッドコーチであったラズモフスキー夫妻から、旧ソ連のトレーニング方法について教えてもらったときに、ハッと気づくことがありました。 1993年に日本体操協会は、日本の女子選手の競技力向上をめざして彼らをコーチとして招聘しました。ラズモフスキー夫妻はすぐに日本のナショナルチームの指導に着手したのですが、彼らがまっさきに指摘したのは、日本選手の姿勢面の欠点だったのです。 そして彼らは、まずまっすぐな美しい立ち姿勢を選手たちに要求したのです。ロシアでは、このような姿勢を「ベリョースカ=白樺のポーズ」と呼ぶということでした。風雪が吹きすさぶ真っ白なシベリアの平原に、スッーとまっすぐ伸びている白樺の木。その姿に、ロシアの人たちは最高の美しさを感じるというわけです。 それではどうすればこの姿勢がとれるのでしょうか。それは股関節の使い方に秘密があります。両足で直立したら、何かにつかまってもいいですから、両方の足先をかかとを中心にして180度開きます。こうすると股関節が外側に開きます。そうすることで上半身と下半身とが腰のところでジョイントされ、まっすぐに立つことができます。運動美の極致ともいうべきクラシックバレエには、もっとも基本となる五つの姿勢がありますが、そのうちの一番ポジションと呼ばれる姿勢がこの立ち方なのです。 |
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