「みんなが楽しむ」 小川 宏
 今回は、レクリエーションとしてスポーツを楽しむ時のプレーの仕方や考え方についてお話ししたいと思います。皆さんはスポーツを楽しもうと思ったとき、どんなことを考えてプレーしていますか。
私はレクリエーションスポーツの一つであるソフトバレーボールを体育授業で行うことがあります。受講者の中にはずっと部活動でバレーを続けてきた上級者もいれば、基本的なパスもうまく出来ず、ゲームではミスを恐れてボールから逃げがちな初級者もいます。初めの頃は、初級者そっちのけでこれ見よがしに豪快なスパイクや強烈なサーブを打つ人や、どうしても勝ちにこだわってしまう人がいます。しかし一段落し、周りの人達がプレーを楽しめていないことに気付いたり、レクリエーションスポーツの趣旨を理解していくにつれ、初級者に打ちやすいトスを上げたり、初級者がミスしたボールをカバーしたりして、徐々に和やかなゲームになっていきます。中には、なかなかそういう場の雰囲気に気づかない上級者もいますが、私はこういう人は真の上級者ではないと考えます。なぜなら、プレー中に周りの状況を的確に判断できる人がスポーツの上級者と言えるからです。
例えば、サッカーの中田選手が仮に町民サッカー大会に参加したらどんなプレーをするでしょうか。おそらく、所々には華麗なドリブルやパスを披露しつつも、他の人に優しくアシストパスを出すなどして、味方、相手チーム、そして観戦している人まで含めてみんなを楽しませるようなプレーをするでしょう。このようなプレーを選択できる人が真の上級者と言えます。
このように考えると、レクリエーションとして行うスポーツにおいて上級者は、単に自分の技能を発揮して自己満足するのではなく、初級者の楽しさを引き出すようなプレーが求められます。一方初級者は、上級者の協力を得ながらプレーを積極的に楽しもうとする姿勢が求められます。
そもそもスポーツとはみんなが楽しむために行っているわけですから、自分だけが楽しめればよい、という狭い考え方ではなく、味方、さらには相手チームが楽しめているかどうかまで考えて、みんなの楽しさの総和が最大となるようにプレーしていくことが大切になります。そして競技スポーツでもこの考え方を当てはめ、全力で真剣勝負をしながらも、相手を一緒にスポーツをしている仲間と考えることによって、勝っても負けても、試合後には笑顔で相手と気持ちよく握手できるようになるのではないでしょうか。