| 運動で認知症予防? |
安田 俊広 |
| 定期的な運動が,肥満や高血圧,動脈硬化,糖尿病といった循環系,代謝系の病気を予防することは広く認められるようになってきました.それに加え運動は,認知症やうつ病の予防にも効果を発揮するようです.ただ,なぜ運動するとこれらの病気の改善に役立つのかについては,よく分かっていませんでした. 最近,運動することによって筋肉から「健康になる物質」が分泌され,これが病気の改善に一役買っているらしいことが,報告されています. この「健康促進物質」は,インターロイキン-6 (IL-6)と呼ばれる物質で組織が炎症を起こしたときなどに白血球から分泌される物質です.運動をすることによってこのIL-6が炎症と関係なく,「筋肉」から血液中に放出され,それが他の様々な組織に作用を及ぼすと考えられています.具体的には1)脂肪細胞に働き掛けて,脂肪分解を亢進する(肥満予防),2)血管壁に対する抗炎症作用(動脈硬化予防)3)神経細胞のアポトーシス予防や感情コントロール(認知症予防?),といった作用が考えられています. これまで筋肉は他の臓器からの信号(ホルモン)を受け取って太くなったり細くなったりする受動的な組織として考えられてきました.それが内分泌器官として他の臓器に影響を及ぼすとなるとその役割は重要です.なぜなら筋は体重のおよそ40%を占める最大の組織だからです. この筋が分泌する「健康促進物質」は筋肉を収縮させなくては分泌されません.したがって効果を得るためには,やはり身体を動かすことが大切なようです. 現在のところ,この物質が実際に私たちの身体のなかでどの程度機能しているのか,特に認知症に効果があるのかどうかについては,もっと多くの実験が必要です.しかし身体を動かす時は常に頭を使っています.何気なく行っているウォーキングでさえ,地面の状態を確認し,バランスをとりながら,必要な筋肉を必要なだけ収縮させるという作業を一瞬にして行っている訳で,常に頭を使っています.したがって,運動することは,認知症の予防に効果があると私は思っています.最近,頭を鍛えるドリル教材が流行っていますが,「脳みそ筋肉」の私は,ひたすら計算ドリルをするのは苦手です.そこで私は,テニスやスノーボードといった身体を巧みに動かすことによって脳を鍛えることにしています.認知症予防を理由に今日もテニスコートに行って参ります. |
|