| 「炭酸飲料」 | 杉浦 弘一 |
| 「炭酸を飲むな」「炭酸は身体を悪くする」「炭酸は骨を溶かす」これらは競技スポーツの指導場面ではよく耳にします。アメリカ合衆国では、子どもの肥満を防止するため2009年までにすべての公立小中学校で糖分を加えた炭酸飲料などの販売をやめることになりました。炭酸飲料は身体にとって有害な飲み物なのでしょうか。 炭酸飲料とは、飲み物の中に二酸化炭素を高圧で溶かし込んだ飲み物で、独特の爽快感が特徴です。確かに炭酸飲料の中に長時間骨を浸せば溶けます。これは炭酸飲料が酸性の液体だからです。しかし、実際には身体の中で炭酸飲料が骨に触れません。唯一触れるのは歯です。梅干しやレモンなど酸性の食品を食べるのと同様、歯に酸性の食品が触れるのは非常に短時間なので溶けることはありません。 骨が溶けると言われる原因はリン酸です。リン酸は炭酸飲料をはじめとする清涼飲料水やスナック菓子に多く含まれます。リン酸を摂りすぎるとカルシウムと結合し、排泄されます。カルシウムは血液中に一定濃度に保つ必要があり、骨を犠牲にしてまでカルシウム濃度を維持します。 また、炭酸飲料は非常に糖分が多い飲み物です。炭酸の抜けた炭酸飲料を飲めば、他の清涼飲料よりも甘いことがわかります。炭酸飲料は糖分が少ないと非常に飲みにくいためです。炭酸飲料の飲み過ぎは糖分の摂りすぎとなり、肥満などの問題を引き起こします。アメリカでは炭酸飲料過剰摂取が子どもの肥満増加の原因の一つとして考えられたため、公立小中学校から締め出されたのです。 以上より炭酸そのものが悪影響を及ぼすものではないことがわかります。それどころか炭酸飲料は身体に好影響を及ぼす可能性が考えられます。 激しい運動をすると乳酸が生成され血液が酸性になり、筋肉の活動が低下し運動が続けられなくなります。血液中には多くの重炭酸イオンがあり、血液の酸性度が急激に変化するのを防いでいます。 二酸化炭素は水に溶けると重炭酸イオンとなるため、炭酸飲料を飲むことで血液中の重炭酸イオン濃度が上昇し、血液が酸性になるのを抑制し激しい運動を続ける事が出来る可能性が考えられます。 また、運動後に炭酸水を飲むと疲労物質である尿酸の排泄が促進されるという例もあります。一方悪影響も示唆されており今後の検証が待たれます。 最近、無糖の炭酸水や炭酸入りスポーツドリンクも市販されています。これまでスポーツの現場では悪者扱いされてきた炭酸飲料を見直してはいかがでしょう。 |
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