| 集中力の指標(心拍数) |
白石 豊 |
| みなさんは、自分が静かに座っているときの心拍数(安静時心拍数)をご存じでしょうか。一般成人の安静時心拍数は、だいたい1分間に70前後です。ところがスポーツで最高のプレイをするには、この安静時心拍数を知るだけでは十分ではありません。心臓は運動と密接な関連をもっていますから、運動の仕方によって心拍数は大きく変化するのは当然です。 たとえば、100mを全力疾走した直後の心拍数は、200近くまで上がることさえあります。また横になってウトウトしているような状態では、安静時心拍数よりももっと低くなります。でも心拍数は、こうした運動の強弱によってだけ変化するのではありません。心の状態によっても、驚くほどの変化を見せるものなのです。 大きなプレッシャーを感じるような場面で、心臓がドキドキするのを感じた経験はありませんか。アガリ性の人などは、試合や試験の開始をじっと待っているだけで、心拍数が160以上になることも珍しくありません。心拍160といえば、息はハアハア、胸はドキドキ状態ですから、これではとても実力を十分に発揮できません。それではやはりどんな時でも、安静時の心拍数である70前後を保てるようにしたほうがよいのでしょうか。答えは意外にもノーなのです。 テニスのメンタルコーチとして世界的に有名なジム・レイーヤー博士は、ハートレートモニター(心拍計)を一流のテニスプレイヤーに装着してもらい、試合中の心拍数の変化をつぶさに分析しました。その結果、選手がすばらしいプレイをしている最中の心拍数は、120から150の間であることを明らかにしました。 私もテニスばかりでなく、野球、ゴルフなどさまざまな種目の選手たちのプレイ中の心拍数とプレイぶりの関係を調べてみました。その結果、種目によって若干の違いはありますが、やはり110ぐらいから150ぐらいまでの間の心拍数のときに、とてもよいプレイをしていることがわかりました。 わかりやすく言えば、スポーツ選手がよいプレイをするには、プレイ中の心拍数が100以下のようなゆったりした状態でも、逆に150を越えて息はハアハア、心臓はドキドキという状態でもダメだということです。つまり、適度な緊張を感じているときには、心臓も安静時心拍数の2倍程度で動いており、それによってキレのあるすばらしい動きが可能になるということです。 |
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