運動で痩せられる? 安田 俊広
テレビでは「ダイエット」を特集した番組が毎週のようにどこかで放映されています.また,書店に行けば「これであなたも痩せられる.驚異の○○ダイエット」といった謳い文句の雑誌が数多く見受けられます.「ダイエット(減量)」は,現代日本人の関心事の一つのようです.
食料を容易に得られる現代人は通常の生活を送るだけで太ってしまいがちです.これは,400万年ともいわれる長い人類の歴史のほとんどが,飢餓の歴史であったことに起因するといわれています.
長い飢餓との戦いの末,人類はエネルギーを無駄なく脂肪として身体に蓄積する能力を獲得してきた訳です.
その400万年の歴史に対抗して痩せようというのですから,そう簡単には行きません.
 体重の増減は,摂取カロリー(食事)と消費カロリー(運動)の差で決まります.
食事を減らして摂取カロリーを減らす方法は手っ取り早いのですが,お腹はすくし,リバウンド体質になるし,体調不良に陥りかねないなどデメリットも多く継続することは困難です.そこで,運動による消費カロリーの増加を併用することが重要になってきます.運動は上記のデメリットがありませんが,その代わり時間と労力を必要とします.「運動ではなかなか痩せない」という声を聞きますが,まさにその通りです.消費カロリーを増やすにはある程度まとまった時間の運動が必要です.ハンバーガー1コ分(約300 kcal)を消費するには1時間歩かなければなりません.脂肪1kg分(7000kcal)消費するには24時間歩かなければなりません.ちょっと身体を動かしただけでは,たいしたカロリーを消費することができないということが,「運動ではなかなか痩せない」と感じる理由かもしれません.
しかし,この食事と運動の併用による減量が,結局は安全で確実な方法と言えます.
雑誌等で紹介されているダイエット方法の多くは,カロリーの少ない物を食べたり少ない量で満腹感を得られるようにするといったものが多く,摂取カロリーを減らす方法です.これらに,運動の要素を加えれば,健康的な減量ができるでしょう.
外科的処置(脂肪吸引やCO2処理など)を除いて,体重の増減はカロリーの出納で考えなければなりません.これを無視した方法は,眉に唾をつける必要があります.「脂肪を分解する○○」といった減量補助食品がありますが,体内で分解した脂肪は,どこへ行くのでしょう?体外へ排出されるのでしょうか?体内へ取り込んだ大事なエネルギーをあっさりと体外へ排出する体質になるには,あと400万年の年月が必要かもしれません.