| レジスタンストレーニングとその落とし穴 | 川本 和久 |
| 筋肉を強化するためにいろんな負荷をかけてトレーニングすることを「レジスタンストレーニング」と総称します。レジスタンストレーニングには、負荷のタイプによりさまざまな種類があります。今回は、筋力発揮のパターンからトレーニングを考えてみましょう。 バーベルやダンベルなどの重量物を挙上トレーニングする場合、負荷は挙上する重量物の重さとなります。トレーニング中、この負荷が絶えず筋肉に作用していると考えがちですが、重量物を動かすと慣性が働くため、動作の最初に重量物を動かすための加速度が必要となります。ですから、筋肉にかかる力は、必ずしも重量物の重さとはなりません。ここでは、動作の速さによって筋肉にかかる負荷も変化すると理解してください。 具体的には、通常のスピードで重量物を挙上すると、慣性が働かない状態(非常にゆっくりした運動スピード)の2倍程度の仕事量になります。これを動作の初めに一気に大きな力を発揮する「初動負荷トレーニング」(ハイリィ・バリスッティック・アイソトニックともいいます)方式でやってみると、動作の最初に実際の重量物の3倍近い力が、発揮されます。最初に大きな力が働いているので、動作の終末局面では、重量物の重さより小さい力の発揮ですむことになります。実際の運動も同じような力の発揮の仕方をするので、これは、非常に効果が高い方法と言えます。 さらにこれより大きな力を発揮できるのが、一度筋肉を伸展させた後に収縮させる動作(プライオメトリクス)です。この筋肉を伸ばしてから縮めるという動作の切り返し時には、なんと負荷値の5倍の力がかかります。 その場で跳び上がる時に一旦沈み込んで跳び上がりますが、それを「反動動作」と呼んでいます。 反動動作を用いたプライオメトリクスは、実際の運動動作に近い動作で行うことができ、レジスタンストレーニングでは非常に高い有効性を示しています。数十センチの台の上から跳び下りて、瞬時にジャンプするなどの方法がとられています。前述のように通常の5倍以上の力がかかるのですから、筋肥大をねらったレジスタンストレーニングから発展した段階と考えられます。 軽い負荷でも、大きな反動をつかって行うと、思いもよらない大きな力がかかって、傷害につながる可能性もあります。レジスタンストレーニングでは、軽い負荷だから安全というわけではなく、運動のスピードや動作の様式によって、筋肉にかかる負荷は変わってくることを認識していて下さい。 |
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