遠投力を高める 川本 和久
 オーバーハンドで遠投力をつけることを考えましょう。物を遠くに投げるときには、運動のエネルギーが必要です。そのために制限がない限り、必ず助走をつけます。これが野球のピッチャーだと、助走の代わりに、脚を上げ、身体に位置エネルギーを蓄えて、その振り上げた脚を前に踏み出すことで身体にスピードを持たせます。
 助走のあるなしに関わらず、事前に作りだした運動エネルギーを最終的には、投てき物に伝えます。その方法として、投げるときに体幹をそらせ、かつ捻るようにして体幹の動作を先行させ、肩から先の腕でムチ運動を行います。
ムチ運動は、肩→肘→手首と徐々にスピードが増していく動作ですが、これは、技術的な要素が多分に含まれています。ここでは、とりあえず筋力という要素だけでみてみましょう。
 オーバーハンド動作では、肩関節が中心となります。肩関節は他の関節と異なり、強い靱帯で結ばれていません。そのため、いくつかの筋がこの関節を保護しています。つまり、肩関節は、強い靱帯がないために多方面に自由に動かせる反面、傷害に対する危険度も大きいと言えます。肩周りの筋肉群(大胸筋、広背筋、三角筋、大円筋、小円筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋)を十分トレーニングすることが、強い肩を作ると共に傷害予防にもつながるのです。
 上腕や前腕の筋肉をトレーニングしても遠投力は上がりませんし、速い球も投げられません。逆に筋肉がついた分、腕の重量が増し、腕が速く振れなくなります。ですから、遠投力のカギは肩周りの筋肉強化が握っていると言えます
 肩周りの筋肉のトレーニングは、ダンベルやゴムチューブを利用した方法があります。ダンベルなどのウエィトを用いると投動作と同じ力の発揮ができますが、力の加わる方向が重力方向(地面と垂直な方向)なので、立位のままダンベルなどをいろんな方向に動かすのは、筋を痛める結果にもなり、お薦めできません。ですから、身体をいろんな方向に傾けて、ダンベルを重力線上に動かして、ねらった筋肉をトレーニングしましょう。
 一方、チューブはゴムが伸びれば伸びるほど、負荷は強くなります。そのため、力を入れる局面が、実際の動作とずれる欠点があります。反面、さまざまな方向に力を加えられるという長所もあります。それぞれの長所を生かしてトレーニングすることが大切でしょう。
 肩周りの筋肉がトレーニングできたら、実際の動作のトレーニングに移ります。正しいフォームを身につけから、強く、遠くに投げるのは、言うまでもありませんね。