スポーツ・ツーリズム 黒須 充
  スポーツ・ツーリズムという言葉をご存知でしょうか。マラソンやトライアスロンなどスポーツイベントへの参加から、オリンピックやワールドカップなどのスポーツ観戦に至るまで、国内外および「する」「観る」を問わず、スポーツに関わる旅行や観光を総称してスポーツ・ツーリズムと呼んでいます。
これまで、旅行と言えばカメラ片手に観光バスに乗って名所旧跡を巡るといった受け身的なものが一般的でしたが、最近では、炭焼き体験や農作業体験など、旅行者自らが能動的にかかわることのできる旅行が人気を集めているようです。スポーツ・ツーリズムもその一つであり、近年注目を集めています。
たとえば、世界各地で年間300以上の市民マラソン大会が行われる中、毎年3万人近い参加者を集めるというホノルルマラソン。日本からも芸能人を含め多くの人が参加しています。一般にスポーツツーリストは、ほかのツーリストに比べて、滞在期間が長く、一人当たりの消費金額も高いと言われています。参加者等が開催都市に落とすお金は、地元に大きな経済的効果をもたらします。
次にトライアスロン宮古島大会。自然に恵まれた島の地理的特性を最大限に活かし、トライアスロンと言えば宮古島と言われるほど知名度をアップし、地域の活性化に大きく貢献しています。平成元年には東京・宮古直行便、平成4年には大阪・宮古直行便の就航などインフラ整備にも着実な成果を挙げています。
さらに、興味深い事例としてはオーストラリアからのスキー客が急増している北海道のニセコスキー場が挙げられます。季節が反対であるオーストラリアの人にとって、人気の秘密は、上質のパウダースノーの他、庶民的感覚の地元食材を使ったおいしい料理や外国にはない日本独自の文化とも言える温泉あたりにあるようです。
これらのどの事例においても言える事は、その地域の特性を見極め上手に活かしているといった点です。
特に自然の中で行うスポーツに関してはその土地のロケーションや自然条件が重要なポイントになります。海、山、川、湖、渓谷、丘陵、風、雪、おいしい水や空気など、その地域に生まれ育った人にとっては、あまりにも当たり前過ぎてその良さが見えない場合もあるようですが、外からの視点に立って見てみると思いがけずその素晴らしさに気づくことがあるのかもしれません。
スポーツ・ツーリズムは、スポーツを通じて、旅行者だけではなくその土地に住む人々にも、その地域の新たな魅力(宝)を発見させ、地域活性化のきっかけを作ってくれるものと思います。