ダッシュ力をつける 川本 和久

 「ダッシュ」とは、身体を素早く移動させることと定義しましょう。この身体移動を素早く、キレのある動作で行うことは、球技系のスポーツでは、非常に大切な要素です。素早いダッシュとは?動作開始(反応)の素早さ。A動作そのものの速さ。B動作の切り換えの早さ。の3つが考えられます。
 @については、動作やプレーを予め予測しておくことで短縮されます。これは、頭脳プレーと考えていいでしょう。
 
Aの動作そのものの速さというのは、地面に力を加えた反力によって生み出されます。そのためには、脚力です。スタートの瞬間は、股関節、膝関節、足関節の3関節がほぼ均等に働きます。その後1歩、2歩と進むうちに膝関節の貢献がなくなり、股関節、足関節で生みだすパワーが主となります。まずは、この股関節を伸展、屈曲させている筋肉をトレーニングすることが、ダッシュ力向上のための土台作りとなります。股関節を伸展させるために主に働く筋肉は、ハムストリングスとよばれる大腿二頭筋(大腿の後面)です。スクワットやレッグカールなどの方法でトレーニングします。また、屈曲させる筋は、大腿の前面にある大腿直筋や腸腰筋で、チューブなどで負荷をかけて、腿を上げる動作でトレーニングしていきます。
 足関節の伸展(足首のキック)は、ふくらはぎの筋肉が主に働きます。足関節の伸展力を高めるためには、地面からの素速い跳ね返りを意識したフライングスピリットや縄跳びなどの筋の補強的なトレーニングがいいと考えられます。
 Bの切り換えの速さは、二通り考えられます。ひとつは、動きとしての動作そのものの速さです。キレのいい動きと言い換えることができます。これは、ある運動を状況に応じて、短時間に別の動作に切り換える能力をいいます。この動作は、体力的には、体幹の強さが生み出します。つまり、体幹をトレーニングする事で、キレのいい動きが、身に付いてくるのです。腹筋、背筋の強化もさることながら、スタティック(静的)な筋力トレーニングも効果があるといわれています。スタビライゼーショントレーニングなどを取り入れましょう。
 
一方、切り換えの速さは、運動中の方向転換の能力と考えることもできます。ここでは、直線ダッシュの動作に上体と下腿の捻転(腰のひねり)と股関節の回旋(内旋、外旋)が加わります。腰のひねりについては、バーベルを持っての捻転などが有効です。また、股関節の内旋を意識した、サイドステップなどが、勧められます。

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