応急処置 杉浦 弘一
 出血したとき、患部をガーゼなどで押さえます。捻挫をしたとき、患部を動かさないようにして氷で冷やしたりします。このような行為を「応急処置」といいます。
 応急処置と似た言葉で「救急処置」「応急手当」があります。これらの言葉には厳密な定義、区別はありません。救急救命士が緊急時に行う処置を「救急処置」、救急隊員が行う処置を「応急処置」、一般の我々が行う処置を「応急手当」と区別する場合もあります。ここでは、ケガをしたときに我々が手当をする行為を「応急処置」と位置づけて話をすすめます。

 出血時の応急処置は直接圧迫止血法と間接圧迫止血法があります。出血が少量の時は、患部をガーゼなどで圧迫する直接圧迫止血法を用います。多量出血の時(ドクドク出血する時)は、直接圧迫止血法と共に、患部よりも心臓に近い部分を圧迫し血流を抑える間接圧迫止血法を併用します。
 捻挫・打撲時の応急処置にはRICE処置を行います。RICEとはRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字で、その手順を示しています。
 安静(Rest)にすることで、血管断裂や靱帯損傷など患部の2次的損傷を防ぎます。
 アイシングし冷却(Ice)することは、患部の血流量を減らし腫れを抑える、感覚を麻痺させ痛みを軽減する、患部の代謝を抑え組織の2次的な壊死を防ぐなどの効果があります。アイシングは氷を入れた氷嚢(又はビニール袋)を患部に当てます。袋の中に水を少量入れ、空気を抜いて平たく広げると、患部との接触面積が大きくなり冷却効果が高まります。冷却時間は1回30分を限度とし、60分程度の休憩を挟みながら数回(24〜48時間程度)繰り返します。足首などの捻挫の場合、バケツに氷水を入れて患部を浸すと冷却効果が高いのでお勧めです。長時間連続した冷却や、保冷剤での冷却は、冷えすぎて凍傷になる危険性があるので、避けてください。
 患部の圧迫(Compression)は、内出血や腫脹を抑えると共に、患部を支える効果があります。過剰な圧迫は循環障害を引き起こしますので注意してください。後に腫れてくることもありますので、時々患部や圧迫部位から先の血流の有無を確認してください。
 患部を心臓よりも高く挙上(Elevation)することで患部の血流量が減少し、腫脹を抑える効果があります。止血時の挙上は止血効果を高めます。
 応急処置次第で、ケガの悪化を防ぐことや、その後の治療期間を短縮することが出来ます。受傷時に適切な応急処置が出来るよう、日頃から備えておく必要があります。

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