プレッシャーコントロール その2 白石  豊
 高い集中力と感情コントロール能力とは、表裏一体の関係にあります。感情を上手にコントロールできれば、集中力を一貫して維持し、さまざまなプレッシャーにもひるむことなく安定してプレーし続けることができます。
 私たちの注意集中をそらせる要素には、たくさんのものがあります。観客の声援、周囲の期待、失敗への恐れ、相手から受けるプレッシャーなどがそうしたものです。しかし、自分をコントロールするためのもっとも大きな障害は、感情の乱れです。つまり、ゲームで最高のパフォーマンスを発揮するためには、自らの感情をコントロールする能力を養わなければならないというわけです。
 テニスのメンタルトレーニングの世界的権威であるジム・レイヤーは、長年の研究の結果、スポーツ選手の試合中の感情レベルは次の4つに分けることができ、それはある特徴的なしぐさによって外からでもはっきりと見てとることができると言っています。
1 あきらめ(無気力なしぐさ、言い訳、戦意喪失などが特徴で、エネルギーの状態は低く消極的)
2 怒り(イライラしたしぐさ、暴言、険悪な表情などが特徴で、ネガティブエネルギーが充満している)
3 びびり(懸命に戦おうとしているのだが、動作が気ぜわしくピリピリしている、いわゆる過緊張状態)
4 チャレンジ(強く自信にあふれた態度、プレッシャーをむしろ楽しむかのような余裕のある表情が特徴で、エネルギーの状態は高く積極的)
 このように内なる心の動きである感情は、しぐさや表情、姿勢や言葉などによって外から見て取ることができます。レイヤーは、これを逆手にとって、外側の姿勢や表情などをコントロールすれば、内側の感情をコントロールできるということを発見しました。つまり、Emotion(感情)をコントロールしたければ、Motion(動作)をコントロールせよというわけです。
 具体的には、頭を上げ、背筋をすっきりと伸ばして立ちます。顔には不敵な笑顔を浮かべ、ゆったりと呼吸します。そして心の中で、こうつぶやくのです。「私はチャンピオン。誰にも負けない強い心と体を持っている。今、この瞬間に集中して、最高のプレーをやることに全力を尽くそう」と。
 反対に、背中を丸めうなだれて、しかめっ面で文句ばかり言っている人に、勝利の女神が微笑んでくれるようなことは決してないのです。

戻る