水分摂取 杉浦 弘一

 アテネ五輪女子マラソンで金メダルの野口みずき選手が、先日行われたベルリンマラソンでアジア新記録を出しました。野口選手をはじめ、ほとんどの選手は、競技中に給水所で水分を補給します。昔は「水を飲むな」と言われましたが、現在では「運動中には水分を補給しなければならない」といわれています。
 どうして運動中に水分を補給しなければならないのでしょうか。運動中には多量の発汗により水分が失われます。夏の運動中には、水分を補給しなければ3kg以上体重が減る(水分を失う)こともあります。水分と共にナトリウムなどの電解質も失われます。さらに体温が40℃以上になることもあります。失われた水分や電解質を補給し、体温を下げる(上がりにくくする)ことが重要なのです。
 もし運動中に水分等を補給しなければ、熱中症になりやすくなります。熱中症とは高温環境下での身体活動により、身体機能が低下(破綻)する病気です。熱中症の中には、体温調節機能が破綻し体温を下げることができなくなる熱射病、高温や脱水のため血液循環がうまくできなくなり活動が続けられなくなる熱疲労、発汗により電解質が失われけいれんを起こす熱けいれんがあります。熱射病は重篤な場合、死に至ることもあります。
 それでは、どのように水分を補給すればいいのでしょうか。水温は5℃くらいが良いといわれています。温かい水分は体内への吸収が遅くなるので、冷たいものを飲んでください。飲み方は、運動前に250〜500ml、運動中は10〜15分ごとに100〜200mlとこまめに飲むのが適切といわれています。市販の500mlボトルなら、運動前に1本くらい、運動中には1時間あたり2本近く飲むことを目安にしてください。当然、気温や運動量の影響、個人差などがありますので、運動後に体重が減りすぎないように(2%減以内)補給量を調節してください。長時間運動の場合、発汗量に見合った量の水分を補給することは非常に難しい(自発的脱水という)ので、運動後にも水分を補給してください。
 いわゆるスポーツドリンクなど糖分(4〜8%)や電解質が含まれる飲み物が良いでしょう。糖分が含まれた飲み物は真水よりもたくさん飲むことが出来ます。糖分以外にも様々な成分が含まれた高機能飲料物が市販されています。これらの効果をよく理解した上で、自分自身の目的に適した飲料物を選んでください。
 日常生活においても脱水が起こっている場面(起床時や入浴後)において、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの発作予防のために水分を補給する必要性が説かれています。

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